散歩道<3988>

                           経済気象台(619)・米国の保守化                       

 アメリカが保守化に向っている。民主党に任せてみたが失敗だった。企業の国有化、医療制度の国営化など、社会主義化が進んでしまった。財政支出を増やしたから、巨大な累積赤字ができて、将来の大増税が避けられない。国力が低下する。子どもたちに「立派なアメリカ」を引き継げないのではないか・・・・。
 この政治不信を背景に、市民運動「ティパーティ」
*1が力を増している。「規制緩和や減税で、政府の規模。役割を小さくせよ」という保守化運動だ。一段と左よりになった民主党へのアンチチテーゼだが、共和党とも一線を画する。財政赤字を拡大したのはブッシュ政権=共和党も同じだ。共和党も民主党と大差なし、という考えだ。
 共和党にとっては、保守党化の流れはありがたい一方、ティパーティーの主張はやや極端に映る。彼等と手を結べば、穏健・中道の無党派層を取り込めなくなる。11月はじめの中間選挙を前に共和党は、影響力を強めるティパーティーとの関係を有権者にどう見せるのか、悩んでいる。だが、保守化の流れが共和党に有利に働くことは間違いない。
 共和党が力を増し場合、まず減税・規制緩和が進むはずだ。これが技術革新を促し、長い年月をかけて米国を復活に導く可能性がある。しかし、同時に、歳出削減も始まり、足下の景気を下押しするだろう。
 米国は「人々がカネを借りようとしない・使わない」という日本型のスランプに陥っている。この場合、金融緩和は無意味で、財政刺激が唯一の対策だ。しかし、保守化のうねりは財政再建を求める。短期的な景気対策がないまま、米国経済は当分の間、薄暗い谷間をさまようことになる。

'10.10.5.朝日新聞

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