散歩道<3914>

                           社説・銀行の資本規制(2)                    (1)〜(2) 続く      
                            日本の金融変革の糧に

 むろん、自己資本の 規制だけで危機の再発を防げるわけではない。このため、バーゼル委とG20の金融安定化理事会(FSB)で、証券や保険などを含めた金融システム全体を網羅する多角的な規制作りが議論されている。欧米などでは独自の規制強化策や監督体制の立て直しも進む。
 各国の当局が規制を上手に組み合わせ、銀行の実態をきちんと把握する。そして、世界的な横の連携を密にしていくことが大切だ。
 銀行に健全な経営を迫るには規制の強化が有効だ。その半面、急に厳しい規制をすると銀行が貸し渋りに走って不況圧力が強まる恐れもある。この点で英米と日独などの意見が対立したが、ユーロ危機や米国の景気減速をにらんで、現実的な着地となった。
 日本のメガバンクの中核的な自己資本は7%台半ばから5%弱とされ、欧米の強豪より低い。合意された水準は年々の利益を地道に積み上げれば達成可能だが、不況などで利益が思うように出なくなると、貸し渋りで景気が悪化する懸念もある。
 そんな事態を招かないためにも、まずは基礎になる収益性を高めることが喫緊の課題だ。収益性が低いから増資もままならない現状を考えれば、なおさらだろう。
 19年までの猶予期間は、銀行の自己変革のために与えられたと考えるべきだ。預金で国債ばかり買っていては、本来の役割を果たせない。
 伸びる企業と技術を見極める力を養い、思い切った融資で支援し、成長の果実を分け合う。そういう力強い銀行への飛躍こそが求められる。

'10.9.18.朝日新聞