散歩道<3894>
オピニオン・中国とやっていく(1) (1)〜(2)続く
したたかに互恵を演出せよ
今回の事件で日本の対中感情は相当悪化しましたが、中長期的には中国依存がさらに高まるでしょう。反日デモ起きた2005年、対中投資はパッタリやみましたが、半年もたつと、反動化と思えるほど投資が相次ぎました。
アニメ、ポップス、ゲームなどの膨大な市場が中国に眠っています。世界でこれほど成長する市場はほかにない。そこで勝てないと、企業の存亡にかかわるのです。経済官僚として中国を見つめた後、日本から中国、また中国から日本への投資を手助けしながらに日中の人脈を広げている身として感じることです。
レアアース(希土類)の輸出減、通関手続きの厳格化、対日旅行に対する無形の圧力など、中国は厳しい措置を繰り出しました。ただ中国としては、経済手段にとどめた点で、これでもブレーキを踏んでいたという感覚でしょう。
逆に言うと、日本が巡視船に衝突した漁船船長を勾留を続け、起訴・公判まで持ち込んで「実効支配」をみせなければ、中国が実力行使に出るおそれもあったと思います。
中国の国民感情には侵略を受けた歴史のトラウマが強く残っています。主権、領土、領海に関して政府が弱腰を見せると、「売国奴」と糾弾される。一歩も引けない、という強い緊張感が中国側にあることを肝に銘じるべきです。
中国が経済力と自信をつけた、ということも背景にあるでしょう。改革解放を進めたケ小平氏は「超大国に復権するまで、周辺国との摩擦を避け、反発を食らわぬように」という方針を示しました。
'10.10.8.朝日新聞・東亜キャピタル社長・津上 俊哉氏
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