散歩道<3836>

                           経済気象台(609)消費税増税だけで良いのか

 政府債務が900兆円を超えたとの報道に、いよいよ消費税率の引き上げによる歳入強化策の検討が必要との声が強まってきているように感じられる。しかし、財政健全化策の中身が消費税増税だけで果たしてよいのであろうか。
 消費税導入の際に議論された論点@課税の不公平の是正A歳出面における無駄の排除、という消費税増税の前提は十分に満たされたであろうか。Aの歳出面における無駄の排除こそ、わずかづつながら手がつけられているものの、@課税の不公平の是正の問題は全く手がつけられていないように感じる。十五三(トーゴーサン・・・所得の捕捉率が給与所得者は10割り、個人事業者は5割、農家は3割)ないし九六四(クロヨン・・・同様に9割、6割、4割)と言われた現象はなくなり、所得の捕捉率は公平であると断言できるのだろうか。
 また、宗教法人などに対する非課税措置についても、それがあまりにも行き過ぎて、税務当局が宗教法人の所得を把握できないとすれば、課税の公平さが確保されているとは言い難い。非課税法人を廃止し、すべての税務当局への所得申告を義務付ける。その上で、国民全体の観点から国の補助が必要であるならば、国会の議決を経て補助金として給付することが透明性・公平性の観点から適切なやり方であろう。
 国民の納税における公平性の確保に加え、社会保障の給付における公平性の確保などを考慮すると、何らかの形での国民総背番号制が必要となろう。その際、個人情報の政府による総合的な利用(省庁間の利用、地方自治体と中央政府間の利用)が必要となるのであれば、それが可能になるような個人情報保護法の修正も必要だ。

'10.8.31.朝日新聞