散歩道<3743>

                        経済気象台(594)・海外景気に黄信号

 国内景気の回復が、海外から脅かされつつある。しかも、、今回は内外ともに政策手詰まりの感が強い分、市場に不安が募り、世界の金利と株が下落する。
 先に発表された日銀の「短観」は、輸出の回復から企業の業況が引き続き改善していることを示した。設備や雇用の過剰感も改善し、このまま行けば来年には設備や雇用の拡大が期待できるところまできた。
 ところが、にわかに海外から景気の「二番底」を懸念させる動きが広がった。債務危機の欧州は、あえて緊縮財政に踏み切った。これを金融緩和で補う算段だが、肝心な銀行が疲弊し金融が機能しない。このため、金融危機再熱とともに、今年の成長率は再びマイナスになるとの見方が広がっている。
 米国でも減税切れで住宅需要が急落した上に、失業保険申請がまた増加し、米景気循環研究所(ECRI)の景気先行指数がこの春以降急落している。この40年あまりの間、これが5%以上に下落した10回のうち、7回が景気後退に陥っているから要注意だ。
 中国でも住宅バブルやインフレ抑制策もあって、製造業の活動が減速してきた。特に各地に賃上げストが広がり、大幅な賃上げでコストプッシュのインフレが広がりかねなくなった。引き締めが強化されると、景気の悪化ばかりか、中国の米国債売りでドル安の懸念も出てくる。
 アジアも含めた海外景気が減速すると、日本の回復も脅かされる。現に一部の輸出企業で在庫が積みあがり始めた。100年に一度の経済危機に、各国とも政策手段を使い果たした。リスク忌避
(きひ)は株安とともに円の資金回帰を呼び円高になる。海外から寒気が押し寄せる前に、内需発掘が急務だ。


'10.7.7.朝日新聞