散歩道<3484>

                      経済気象台(553)・責め一人(いちにん)に帰す

 欧州連合(EU)が苦悩している。加盟国ギリシャが「国が破産?まさか」と破綻寸前。その衝撃はユーロを痛打している。国際金融不安は依然色濃いが、昨年末のドバイ金融危機に続く今回のユーロ急落は、サブプライム・ショック以来の国債金融システムの不均衡が調整過程に入り始めた兆しとも見える。   EUはこの半世紀「戦争無き版図拡大」という人類の壮大な実験を進めて来た。そのロマンが付加価値となって、統一通貨ユーロの相場は常に高めに推移してきた。ギリシャ危機を反映した今のユーロ相場は現実に立ち返る動きかもしれない。
 そこでユーロ安の衝撃をドル、円、ポンド、どの通過が受けとめるのか。貿易赤字縮小の兆しもあり、米連邦準備制度理事会は2月18日に公定歩合を引き上げた。ドル高を受けて立つ姿勢か。とも見えるが、米財政赤字は1兆5千億jを越えた市場最悪だ。ドル高は基軸通貨宿命の重荷でしかない。日本も2010年度政府予算案の新規国債発行額は約44兆5千億円に達する。円高での景気回復はきつい。6月には総選挙と目される英国も不況脱出に必死で、ポンド高は回避したい。結局、どの通貨も実力以上にユーロ安のしわ寄せを受けている形だ。
 この方程式を解く「変数X」は中国の人民元だ。相場が国家管理されている元がもし自由に変動すれば、当然ユーロ安イコール元高となり、その分、ドルや円、ポンドの負担は軽くなる。
 人民元が動かない以上、通貨による不均衡調整はいびつのまま世界経済回復の足取りを重くする。「責め一人
(いちにん)に帰す」とならないよう,第2の経済大国になる中国に国際的な責任を促す時が来ている。


'10.3.3.朝日新聞

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