散歩道<3255>

                       経済気象台(518)・年の瀬の一つの仮説

 普段気がつかないところで、時代は変化している。休日の夕方、スーパマーケットに夕食の材料を求めて行く。1階の女性用衣料品売り場が衣替えをして、お歳暮のコーナーになっていた。何げなく通り過ぎようと思ったが、何か違和感を覚えた。お歳暮のコーナーに申し込み手続きを待つ人の列ができていた。それも、今まで見たこともないほどの人数であった。コーナーでは、4、5人の係員が慌ただしく対応していた。
 従来、スーパーのお歳暮のコーナーは、平日、休日にかかわらずあまり客が多くなく、どちらか言えば閑散としていたという印象がある。それがまた、客として、お歳暮のコーナーに入りずらい状況をつくっていた。
 今、お中元や歳暮を贈る日本人は明らかに減少している。しかし、そのなかでも中高年層を中心に、お歳暮はデパートという感覚の人は少なくない。お歳暮を贈る側ももらう側もいまだデパートの
包装紙があれば、安心し、満足する人が多いからであろう。一方、スーパーで衣料品を買うのを躊躇(ちゅうちょ)するのに似た心理から、お歳暮をスーパーで求めようとしない人がいるのも事実だ。日本人特有のブランド心理だと考えられる。
 不況により、今年はお歳暮を贈る人はさらに減少すると予想される。そのなかでも様々な事情から、今年もお歳暮を贈ろうとする人はいる。しかし、その人たちの一部は、深刻な不況の影響から、送り先の数を減らし、商品の額を下げるなどの対策に加えて、ブランドを気にする思いよりも家計の事情を優先させ、求める場所を、デパートからスーパーに変えるのではないかと予想される。今後のや歳暮商戦が気にかかる。

'09.12.2.朝日新聞

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