散歩道<3236>

                        経済気象台(512)・やってはいけない競争    

 価格競争、規模拡大競争、品ぞろえ競争。この三つは、中小企業が絶対にしてはならない競争だ。
 価格競争は一見すると勇ましい。だが、勝っても負けても、わが身を削る単純な消耗戦だ。規模拡大競争も勇ましいが、ともすると自分の体力を無視した背伸びの経営となり、不況に弱い体質をつくってしまう。豊富な品揃えは格好はいいが、無駄な在庫を抱え、黒字なのに資金繰りが苦しくなって経営破綻
(はたん)を招きかねない。
 不毛な競争を避け、健全な企業体質にするには、まず新技術を開発し、独自の市場で勝負することだ。新製品でなくても、他の追随を許さない技術を身につける。または、他社に先駆けて最先端の設備を活用する。
 規模を拡大するときは、常に自己資本と相談することが大事。絶対に財務バランスを崩してはいけない。固定資産は、原則として自己資本の範囲内で調達することを心がける。
 商品は厳密に選び、無駄な在庫を持たないことが肝心だ。なるべき在庫を持たずに生産販売するには、品質管理を中心とした生産技術の定着が欠かせない。

 新技術の開発、正しい財務戦略、生産管理技術の定着。この三つの戦略が、無用な競争を避けるカギとなる。やってはいけない三つの競争を知り、やらなくてはいけない三つの戦略を実行する。これこそが、中小企業が勝ち残るための奥義。大企業といえども、この原則を踏み外した企業は、破綻への階段を上るだろう。
 不況は企業破綻のきっかけにはなるが、原因ではない。真の原因は、経営の仕方そのものにある。そのことを肝に銘じ、しっかり永続できる企業づくりを目指したい。

'09.10.31.朝日新聞