散歩道<3208>
ザ・コラム・G20は近隣窮乏化防げるか(3) (1)〜(3)続く
輸出への誘惑
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だが、中国の内需拡大がどこまで続くか不透明だ。最近、筆者がある中国人の経済学者に聞いたところ、「中国は今後も輸出主導の経済成長を続ける」と自信をもって語った。バブル崩壊で米国の消費が落ち込んでも、減るのはぜいたく品の消費で、生活必需品の消費が落ち込むことはない。中国が輸出しているのは日用品などだから、米国への輸出が減り続けることはないというのである。
回復した輸出で中国経済が潤い、その結果、中国の国内消費などが増えて、内需型の経済成長を実現すれば世界にとって望ましいが、そうなるかどうかは分らない。中国の経済学者たちの多くは、急に国内消費を増やすのは難しく、今後とも中国経済は投資と輸出を中心に成長する(べきだ)という見方だ。
日本にたいしても内需拡大の圧力は大きい。子ども手当てなどの鳩山内閣の消費型刺激策への期待は高まっている。しかし、内需拡大は過去30年も課題とされてきたのに実現できなかった。日本経済の構造転換を必要とするだけに、急に実現するかどうか。日本企業も、国内市場ではなく、新興国市場の開拓に本格的に乗り出している。輸出主導の成長戦略という基本線から抜け出せそうにないのである。
結局、米中日その他の国々を見ても、どの国も、自国以外の国に内需を拡大してもらいたい、自国だけは輸出を増やしたい、というのが本音だ。各国の協調を実現するための、実効性の高い国際的な枠組みを早急に作る必要がある。
09.10.29.朝日新聞・ 経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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