散歩道<3194>
記者の視点・モラトリアム金融行政の軸足を債務者に(2) (1)〜(2)続く
米国ではサブプライム危機で返済できなくなった人が住宅から追い出されない政策が取られている。住宅金融公社がローンを安値で買い取り、その価格で低利のローンに切り替えて家主に提供する。元本も金利も安くなる。
英国では住宅ローンが返済できない債務者に最長2年間利払いを延期するなどの支援策が4月から始まった。フランスには返済困難な個人が、地域の調停機関で返済延期や金利減免などができる。
日本ではバブル崩壊のように政策や銀行に問題があった時でも、債務者は「自己責任」が問われ救済されることはなかった。返済猶予や金利減免は「恥ずべきこと」のように言われる。銀行保護に重点を置いた戦後の金融制度が庶民まで洗脳したのだ。だから整理回収機構などがローン債務を安く買い取っても債務者に恩恵はない。買取額を伏せ、買い取り前の元利を取り立てる回収が横行する。
銀行主導の提案型融資で債務者に損害が出ても貸手責任は問われない。返済出来なければ翌日から14%の延滞金利が課せられる。銀行優位の慣行に零細債務者は泣かされて来た。政権交代は、その力関係を変える好機なのだ。
'09.10.4.朝日新聞・ be編集グループ・山田 厚史氏