散歩道<3157>

                         経済気象台(495)・他人頼みの経営者たち

 民主党政権の経済政策に対して、産業界から期待や要望が多数寄せられている。その一つに成長戦略がある。企業経営者へのある調査によれば、もっとも要望が多かったのは、新産業育成や技術革新などの成長戦略だという。
 筆者は、それに対して強い違和感を覚える。民主党は、マニフェストや選挙戦の中ですでに、環境規制を強化して低炭素社会化をススメ、それをてこに経済成長を高めると言っていたのではないか。一方で、経済活動に悪影響を及ぼすとして、厳しい環境規制に反対してきたのは産業界ではなかったのか。
 省エネ・環境分野が大きな成長産業になりつつあることは明らかだ。そこでの主導権を握ろうとする競争が世界で始まっている。高いハードルを設定し、技術革新を進めることが、強い競争力を獲得する重要な要素であることは疑いない実際自動車分野では、海外ベンチャ企業も含め、電気自動車や軽量素材の開発が加速している。また、国民の省エネ・環境意識も定着してきた。エコーカー、リサイクルなど、低炭素化に向けた動きが広がっているようにみえる。
 経営環境の変化を機敏にとらえ、企業が投資というリスクを取って事業拡大に結びつけることが、経済のダイナミズムを生む。石油危機のときも、原油急騰の下で立ち行かなくなる産業や企業はたくさんあったはずだ。しかし、彼らが省エネに必死に取り組んだからこそ、その後の経済発展が実現した。そのような日本経済のダイナミズムはなお残っていると、筆者は考える。しかし肝心の企業が他人頼みでは、それは発揮されない。経営者が成長路線と称して政府に何を求めているのか、理解に苦しむ。

'09.9.10.朝日新聞