散歩道<3104>
経済気象台(484)・ダブルディップ
株価は日米欧とも、ほぼリーマン・ショック直後の水準まで戻し、生産指数も下げ止まったことで景気回復への期待が高まっている。しかし、それが順調に好況感に繋がる保証はない。特に米国の場合、1930年代の大不況のときのように、再び反落して株価も底値を切り下げるダブルディップ(二番底)のリスクがあることには留意の必要がある。
理由の第一は大幅な需給ギャップの中で雇用の悪化が続き、それによる個人消費の減退が企業業績の低迷と悪循環していること、第二は、大手銀行などは危機を回避したが、地方金融機関の過剰債務や資産の劣化の改善は遅れ、貸し出しが全体として消極化していること、第三は過去10年の過剰債務は未清算で、今後資産価値の下げ余地が少なくないことである。
当面の景気は異例な財政・金融処置で下支えされるが、その限界が見えてきた時は要警戒である。その場合、輸出依存度の高い日本への影響は大きく、雇用問題も一段と厳しさを増すと思われる。IMFの見通しでも世界の生産が07年の水準に戻るのは11年ごろという。
日本としては、その間を持ちこたえて次の飛躍に備えるために二つのことが重要だろう。一つは失業手当など、セーフティネットの更なる強化のための国の施策である。いま一つは何のための経営か、という元々の志に立ち返り、働く人々との関係を思い切って見直すことだろう。ただならぬ試練こそ変革の好機ととらえ、乏しさを分かち合いながら、顧客の必要と社会の痛みに共にこたえるという、企業の本源的な力の育みである。そういう根本からの変革が広がれば日本だからこそできる突破口につながる可能性がある。
'09.8.20.朝日新聞