散歩道<3032>
経済気象台(473)・内需と外需
不況になると必ず「内需拡大」「外需依存からの脱却」が叫ばれる。しかし、肝心なのは、豊かな国民生活の実現だ。内需、外需、どちらでもいい。ただ、バラマキ型の内需拡大策は、短期的な効果はあっても、持続的な効果は期待しにくい。本当の豊かさを得るには、長期的な視点に基づく経済政策が必要だ。
資源に乏しい日本が、安定的に経済成長を続けるには、製造業の活性化が必須条件。そのためには絶え間ない技術開発が欠かせない。2度の石油危機による不況を乗り越えた原動力は、省エネ・省資源を追求した新技術の開発だった。いまも自動車や電機に限らず、医療、医薬品、バイオ、食品加工など様々な分野で、新技術が不況打開の鍵を握る。
もっとも、技術開発や設備導入には、大きな資金がいる。国は企業や大学に対し、積極的に研究費助成や投資をしてほしいが、持続的な効果を期待するならば、税制の見直しが有効だろう。
法人税率の引き下げ、減価償却期間の短縮、事業承継に関する相続税の軽減などを実施すれば、投資余力が生まれ、企業活動は活性化する。世界各国は自国産業の国際競争力を高めようと、法人税率の低さを競う。日本も欧州先進国並みの税制にしないと、国際競争の出発地点で劣勢に立つことになる。
日本では少子高齢化が進むが、世界の人口は増えている。目先の内需拡大ばかりを重視し、高い輸出依存度に批判的な論調もみられるが、新興国など成長市場に背を向けて、日本の発展はありえない。いま一度、輸出に強い企業、産業を育てるときだ。輸出は相手国の民への貢献であり、輸出競争力の強さは誇るべきことなのだ。
'09.7.1.朝日新聞