散歩道<2965>            
 
                      経済気象台(458)・しつこいデフレ 

 物価が再び下がり始めた。今年3月の消費者物価は、1年半ぶりに前年比下落した。下落幅は、さらに大きくなるだろう。今回のデフレは、前回(1990年代末2000年初頭)に比べ、しつこいものになるような気がする。
 第一に、経済の悪化が激しい。回復に向かうとしても、そのテンポはきわめて緩慢なものとなろう。前回のように、海外に救いを求めることも出来ない。米国も半世紀ぶりのデフレに直面している。
 第二に、賃金の下落が顕著である。1
3月の一人当りの賃金は、前年比 3%も下がった。今夏ボーナスが2ケタ減になるとの予想もあり、賃金の落ち込みはさらに大きなものとなるだろう。賃金が下がれば、家計は消費を減らし企業は価格をさらに下げる。そして、デフレスパイラルが始まる。  第三に、消費者行動の変化が、デフレの背中を押す。前回のデフレの時、消費者はパニック的に下値を追った。だから不況が終わると、節約疲れの消費者は、安値品から離れていった。しかし現在の消費者は、合理的節約志向を強め(若者の弁当持参、モバイルPC人気など)、ネットで価格の比較情報を仕入れて、シビアな購買姿勢を貫くようになった。
 一方で、救いもある。間違った認識が政策をゆがめるリスクが、小さくなっていることでだ。前回は、政府や一部研究者の間に、金融を徹底的に緩めればデフレはとまる、との認識が広がり、日銀は量的緩和政策を余儀なくされた。しかし、その結果は実証されていない。今回は、内需主導経済を実現し将来不安を取り除くことこそが、デフレを止めるという認識に基づき、正しい政策がとられることだろう。

'09.5.22.朝日新聞

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