散歩道<2892>
経済気象台(433)・経済危機と輸出産業
過去の6年間、日本の経済成長を支えてきた輸出がかってない試練に見舞われ、不況の主因となっている。1950年以降、最も輸出が落ち込んだのは86年8月のプラザ合意後の円高による前年同月比21%減であるが、本年1月は46%減、2月は49%減とかってない落ち込み幅となっている。これは、世界的な所得水準の上昇で需要が拡大した自動車とその生産によって需要が増えた鉄鋼、工作機械、建設ブームで伸びた建設機械、ITブ−ムによるパソコン、薄型TV、携帯電話、デジカメ、それによって需要が増えた半導体と同製造装置などが、世界同時不況で一気に需要が縮小したためである。逆に言えば、世界経済が回復しない限り、日本の輸出は元に戻らないことになる。
確かに輸出に依存した日本経済は世界景気の影響を受けやすいので、今後、国内消費を活発にして層の厚い需要構造を作っていくことが重要である。しかしながら、世界に供給できる生産・販売ネットワークを持つ日本企業が、少子高齢化の進む日本経済の内需だけで成長を持続することは難しく、世界市場をさらに開拓せざるを得ない。
今、日本企業が行うべきは、長期成長戦略を策定・実施することである。第一は、今後の世界経済を牽引(けんいん)する中国、インド、ブラジルなどの新興国市場を一層開拓すること。第二は、電気自動車や環境、新エネルギー事業などの新たな技術分野で優位性を築くこと。第三は、量産品分野から事務機、原子力発電設備のようにトータルサービスの優秀性で世界市場を開拓する事業モデルに方向転換することである。そして、政府は、これらを支援する政策を早急に策定・実施すべき時である。
'09.3.28朝日新聞
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