散歩道<2720>
                       ポリティカにっぽん・オバマ演説に学ぶ・レトリックか「やさしい心」か(3)         (1)〜(3)続く

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 日本の年の瀬、派遣切り、雇い止めで、たくさんの非正規雇用の人たちが路頭に迷っている。彼らが職を失わないように、民主、民社、国民新の野党3党が緊急雇用対策4法案を提出、その審議が行われるのである。これは与党も野党もないだろう、はやく国会が手をさしのべなくちゃね。
 だが、私が見たものは、自民,公明党議院のやじと怒号、やじり返して4回挙手して採決を強行可決する民主党議員、いったい何をやっているんだろう。朝日川柳にある「大声で騒げば仕事と思っている」人たちなのか。そして、「法案は賛成。でもこんな採決はひどい」と悩む社民党の福島瑞穂議員、「野党と自民党は合意形成を」と主張して自民党から拍手をうける共産党の小池晃議員。結局、法案は衆院で葬り去られた。委員会の喧騒の中で、さっき聴いたオバマの演説の一節が脳裏によみがえる。
 「人々は自分たちの問題をすべて政府が解決してくれると期待してはいけません。しかし彼らは優れた直感で悟っています。優先順位をすこし変えるだけでアメリカの子供たちに人生へのちゃんとした見通しを持たせることができると。そして機会の扉をみんなに開いておくことができると」
 「冷笑主義の政治に参加するのか、それとも希望の政治に参加するのか」
 来年の日本政治はどうあるべきか。政権にしがみつく与党も政権奪取しか頭にない野党もうんざりである。いまの時点、オバマに学ぶことがあるとすれば、それはイメージやレトリックよりも、国民に寄り添っていこうとする政治の精神かもしれない。


'08.12.29.朝日新聞・本社コラムニスト・早野 透氏

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