散歩道<2664>
大不況克服へ巨額財政出動せよ(3) (1)〜(4)続く
債務増を心配する時ではない。
こうした支出をすれば、政府部門の債務がGDP比でかなり上昇することは確実だ。しかし,今は債務の増大を心配すべきではない。
合理的な判断のできる政府を持つ先進国なら、高水準の債務残高に相当期間は耐えられる.日本がそれを示してきたし、ベルギーも債務膨張で混乱するような事態に陥ってはいない。いずれはもっと多くの財政収入が必要になるのだが、それすらもいまは心配すべきではない。
ゼネラル・モーターズ(GM)などの自動車産業を救済すべきかどうかは、きわめて難しい問題だ。もし救済すれば、ここに至った経営の失敗を今後も続けさせることになる。しかし一方、この危機のさなかに自動車メーカーが消えていくのは避けたい、正しいことでもいまはなすべきときではない、ということもあるのではなか。
金融政策が影響力を失い、財政政策しか残っていないというのは、「不思議の国のアリス」の世界だ。この世界では、貯蓄を高めるのが悪いことで、健全な財政も悪いこと。逆に完全にムダな政府支出が善いこと。「あべこべの世界」だ。*2
ここには長くいたくない。「奇妙な経済学」を永遠に続けたくはない。しかし我々は今そこにいるのだ。完全雇用に戻りフェデラルファンド金利が5%になれば、元の世界に返れる。しかし、今は違うのだ。
世界不況を克服するには、G20のような国際協調によるグローバルな景気刺激策が必要だが、残念ながら当事者能力を失っているブッシュ政権の下では力強い合意は期待できない。米国も中国も財政による景気刺激策をとる方向には進んでいる。しかし、例えば各国一斉にGDPの3%に相当する景気刺激策を採るといった合意は、すぐには望めないだろう。
'08.11.17.朝日新聞・米プリンストン大教授・クルーグマン氏
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備考:「オークンの法則*1」:「失業率が1%幅大きくなるごとにGDPギャップが2%幅拡大する」。クル-グマン教授の概算では、09年の失業率が完全雇用率より3〜4%程度高まるため、GDPギャップは7%前後に広がる。
備考:*2 面白い話候補!
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