散歩道<2650>
                          美術展・蒔絵Japan

 一番の印象はこれだけの素晴らしい美術品が日本の鎌倉、室町、南北朝、桃山時代、江戸と継承されていたという事実を知った事、そこに築かれていた深い文化の昔の先祖にあったような気がして、見学者は皆誇らしく思ったようである。実際に見て、その作品は芸術的にも高く、技術の確かさ、細かさ、又、種類の多さや、工夫を凝って作られた作品の出来栄えの素晴らしさ等当時の市民のレベルの高さがしのばれる。日本の長い歴史の中で築かれてきたこれらの美術品が海外流出していた為、多くの日本人はこの事実を知らないでいた。又、紹介される機会もなかったように思う。この明治始めから最近までの長い空白期間は、文化面で特に西欧に対する劣等感のようなものになっていたのではないか。しかし、これらの美術品がヨーロッパに大切に保存されていたのである、蒔絵で作った、キリストの名を表すIHSの文字、礼拝用や、書見台、書簡箪笥や洋櫃等が使われたり、旅行用バッグが作られたりしていた。
 今回の美術展で、
ヨーロッパの、イギリス、オランダ、スエーデン、デンマーク、フランス、ドイツの王室で大切に部屋に飾られ、日常的にも使われていた事実を知る、その素晴らしさ評価されておられたからだと思う、そのようなことを知らずに日本人は、過ごしてしまうところであった。有難うと言いいたい。
 日本が江戸から明治に代わる時代に、今までの日本の伝統文化がすべて古いものとして破壊されたり
*1、無視された。ただ西欧の文化意外は一段と劣ったものとして評価された。当時の日本人の浅はかさである、日本人の過去の道徳や思想、文化的な背景をすべて失った状態で外国と肩を並べて生きていこうとした、当時のお国柄を、外国からきっとバカにされたのだと思う。そうして信じるものをなくし、精神的な屋台骨を失った状態で生きていくことが日本人は強いられたのだと思う。

 東インド会社を足がかりにアジアへ進出したイギリスやオランダは、日本の蒔絵螺鈿、インドの貝細工のモデル、シアムのさめ皮の南蛮漆器等、希望する製品の規格品を各国に作らせた、まさしく大航海時代の産物である、グロバリゼーションの走りであると説明されている。当時のヨーロッパで東洋の漆器として大変重宝されたと言われている。マリーアントワネットの母である、マリア=テレジアは東洋の漆器の方が宝石より貴重だと言ったと伝えられているほどだ。

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