散歩道<2623>
経済気象台(393)・景気急落の理由
最近、長野県内のモノづくり企業経営者と懇談する機会をもった。皆一様に、年明け以降売上げや受注の低迷が続いてきたが、9月以降はかってないほど急激に悪化しており先が読めない、と話していた。これまで、幾多の不況を、強い技術力と忍耐力で乗り越えていた企業にとっても、現下の景気は予想を超えた厳しさとなっているようだ。
景気は昨年末以降後退局面に入っている、というのがコンセンサスだが、ここへ来て冷え込みが加速しているのはなぜか。
第一に、これまでの日本経済の回復があまりに輸出依存型であったため、世界に広がった金融危機と経済悪化の影響が、従来以上に強く現れている。今回の景気回復の6割以上は、輸出によって支えられていた。
第二に、景気の悪化が広い範囲に及んでいる。IT(情報技術)バブル崩壊後の不況は、文字通りIT関連産業が大きな打撃をこうむったが、今回はそこに世界的な自動車不況が加わっている。産業規模が。IT製造業の2倍に及ぶ自動車関連産業の変調が、景気悪化をより深刻にしている。
第三に、生産ネットワークのグローバル化が、生産への悪影響を増幅している。グローバリゼーションは、素材、部品、製品の製造拠点を世界各地に分散させたが、最終需要の縮小が、各段階における在庫や設備投資の調整を通じて、とくに素材、部品、設備機械の重要な供給者である日本の生産の振幅を大きなものとしている。
第四に不透明感の高まりに伴う企業マインドの慎重化が、生産や設備投資を一段と抑制的なものにしている。今回の景気後退は、予想以上に深く長いものになるかもしれない。
'08.10.28朝日新聞