散歩道<2567>

                               経済気象台(384)・官僚制の逆機能   

仕組みの経済学ー20

 経済学者は政府を「市場の失敗」を補う合理的・効率的組織と想定しているが、わが国の場合はむしろ相次ぐ「政府の失敗」により「官製不況」とまで呼ばれるほど、経済が低迷している。
 ロバート・マートンという社会学者は、事なかれ主義、形式主義、権威主義、秘密主義、自己保身、セクショナリズムなどを官僚制の「逆機能」と呼んだ。わが国の官僚組織は驚くほどこれらに満ちあふれている。
 市場の失敗はやり直しがきく。だが、官僚たちは無謬性
(むびゅうせい)神話と責任不在の結果、失敗を繰り返しながらも組織を拡大させてきた。
 「官僚組織は肥大化を続け、必要でない仕事を増大させる」というパーキンソンの法則は、わが国ではオモテの公務員組織以上に官僚OBで構成される膨大なウラの天下り法人の拡大で裏付けられている。この結果、官僚組織は、必要性に疑問の多い独立法人や、特殊法人、公益法人などの天下り先を乱立させ、OBに現役時代よりも高い給与や退職金を支払う一方で、巨額の税金を浪費し続けている。亡きミルトン・フリードマンは、「
(連邦)政府にサハラ砂漠を任せれば、5年以内に砂が不足する」と官僚組織の強欲を皮肉った。わが国では、長年にわたり政権与党を取り込み、立法を陰で支配してきた。この結果、憲法違反とも疑える「官僚内閣制」に至った。
 だが、2年続けて首相が政権を投げ出す事態でさすがに官僚に操られた政治の破綻が明らかになった。政治の混迷はこれまでは官僚の好機であった。いまや国民の失望と怒りは大きい。総選挙は、主権者たる国民と官僚との代理戦争となるだろう。


08.9.13.朝日新聞

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