散歩道<2534>
経済気象台(373)・成果主義の壁
国内の景気は再び後退局面に入ったという。大企業はこれまでの数年間年間好業績を上げてきたが、中小企業は特に内需関連企業には好況という実感はなかった。それが、年初来、原油や資源高によるコスト上昇の波及と消費の減退に挟撃され、さらに厳しくなっている。
その中で中小企業にとって本当に頼りになるのは、試練に立ち向かう経営者の意志と知恵ではないか。これまで経営にはビジネスモデルや技術やお金がすべてのように言われてきたが、それは一面のことである。
環境の変化が激しいほど、事態を正面から受け止め、経営者がこれまでの前提を見直し、積極的に事態から要請にこたえる意志で挑戦することが打開の決め手となる。
元々日本の中小企業の経営者にはそうした気概がある。それによって長い年月をかけてそれぞれ個性のある会社の土台がつくられ風雪に耐えてきた。だが、その長所を正しく評価するまなざしは大企業にも、また政策当事者にも弱くなっている。
しかし、今は大企業も環境変化への対応では悩みを抱えている。非正規社員への依存からの脱却が遅れ、社員のポテンシアルを十分に発揮できない状況にあるからである。経営者の意志の反映という面では中小企業の方に分があり、経営者自身が代れば結果は早く出る。
成果主義がもたらした疲弊や孤立、虚無という壁をこえるために、経営者は社員のもつ可能性や体験をどこまで信じ、引き出すことができるのか。困難ではあっても、そこは経営者が主導権を発揮できることである。そこへの中小企業経営者の挑戦が始まり、実を結ぶことが望まれるし、それは大企業にtっても良い刺激になると思われる。
'08.8.20.朝日新聞