散歩道<2509>
けいざいノート・米国の金融危機(3) (1)〜(3)続く
市場の混乱防ぐには 大胆な国際協調の構想を
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思考実験として、経済が過熱する中国や産油国の外貨準備(公的資金)を、日本のファンドや国際的な枠組みを経由し、米国の金融機関への資本注入に使う、という政策を考えてみる。
資本不足になった米銀に投資することだけをとれば、中国は短期的に大損することになる。しかし次のように全体状況を考えると割が合うかもしれない。
外国からの投資で米国の金融機関が資本増強されれば、市場は安定し、その分、米国の財政悪化も避けられる。ドルの急落スピードも穏やかになり、中国が直面する人民元の切り上げ圧力も軽くなる。その分、国内の構造調整に充てる時間が稼げることになり、社会不安や民族問題が急に悪化することを避けることができる。
つまり、中国は米国の金融システムに補助金を支払うことで、国内調整を穏やかに進めるための時間を得て、社会不安のコストを軽減できるかもしれないのである。また、補助金といっても米銀への資本注入なのだから、10年単位の超長期でみれば、投資収益は適度にえられるはずだ。
こうした考えは、一見、荒唐無稽(こうとうむけい)かもしれないが、世界経済が非常事態に陥るような場合には、平時には考えられないような大胆な政策の枠組みを作ることが求められる。いまからそうした事態に備えて構想を練っておくことが必要なのではないだろうか。
'08.8.30.朝日新聞・経済研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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