散歩道<2478>

                           経済気象台(366)・米国経済のスタミナ切れ

 米国の住宅価格は、1930年代の大恐慌以来2006年まで上昇を続けた。それからわずか2年の間に20%もの大幅な下落となり衝撃を与えている。不良債権の一歩手前のサブプライムローン*1はともかくとして、信用力の高い住宅融資のプライムローンまでも滞らせているからだ。
 ところが日本では、米国経済に対する楽観論が根強い。米国は起業会計制度がしっかりしており、金融機関の不良債権や損失が早期に公表され、増資もおこなわれている。また金融システム危機を避けるために制度の制約を乗り越えて、事実上の公的資金を銀行や投資銀行に、積極的に投入している。日本が不良債権の処理に手間取って、「失われた10年
*2」と揶揄(やゆ)されたこととは段違いである。
しかし日本は、米国とは違い黒字国であり、海外からの資本流入に依存しておらず、ゆっくり時間をかけられたとも言える。片や米国では、住宅公社が発行する再建の消化には、海外の中央銀行が重要な位置を占め、目を光らせている。このところ米住宅公社が運用している住宅ロ−ンの損失が懸念され、株価の急落を招き、「政府の暗黙の保証」だけでは投資家の不安を抑えられなくなったと言われている。そのため、米国は迅速に支援策を打ち出さざるをえなかったようだ。
 現在起きている米国経済の問題の本質は、経済運営のスタミナが尽きたということである。米国は経常収支の赤字の拡大を恐れず、世界中からモノとカネを引き寄せてきた。銀行は貸しまくり、住宅ローンが受け皿となって家計部門は住宅を購入し、消費そして輸入を拡大して経済成長を追求してきた。その仕組みが請われてしまった。これが大問題である。

'08.8.5.朝日新聞

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