散歩道<2364>
経済気象台(331)・グローバル中小企業の時代
フイナンシァル・タイムスに、パルミサートIBM会長の寄稿が掲載された。趣旨は、「多国籍企業は絶滅の危機に瀕している。今後は、地元に拠点を構えつつグローバルに技術や人材を生かし、世界のユーザーに製品・サービスを手供するグローバル中小企業が成長する」というものだった。グローバル化が加速する中で、規模の利益を求めて、企業は大型化してきた。しかしそれが、かならずしも期待された収益力・成長力をもたらさなかったことは、多くの実証分析や事例が明らかにしている。背景には、市場や技術の急速な変化に、大企業が迅速・適切に対応出来なかったことがある。その結果、グローバル中小企業の存在が高まるのは自然であり、同会長の指摘は正しい。そこで強調したいのは、グローバル中小企業が、恐らく最も多く輩出しているのが日本だということだ。世界シエアナンバーワンの製品を有する中小企業が日本に数多く存在する。彼らの多くは部品・素材企業であり、年月をかけて蓄積してきた優れた技術やノウハウの魂である彼らの製品を、世界の企業が求めている。他者がまねできない独自性と強い競争力によって値下げ競争に巻き込まれることもない。彼らに共通しているのはかねてからグローバルに事業を展開してきたことだ。経営トップの人的ネットワークが市場開拓の契機となった、海外での評価が日本での事業拡大に貢献した、海外での口コミが海外事業の拡大をもたらしたなど、その中身は多彩である。日本はIBM会長が指摘するはるか以前から、グローバル中小企業の時代の中にいる。今後はそれが、経済活性化の主要な原動力となるだろう。
'08.5.15.朝日新聞
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