散歩道<2310>
経済気象台(317)・果断な意志
米国はFRBが実質政府保証に近い連邦住宅抵当金庫などの債権に対しても巨額の流動性を市場に供給しなければならないという深刻な事態となり、株価も急落、サブプライムローン*1問題による金融市場の収縮、金融機関の自己資本力の低下、信用収縮という連鎖も更に広がる方向にある。ドルの信認はゆらぎはじめ、このままでは景気後退も長期化する可能性がある。公的資金などによって住宅ローンなどを担保とする証券類の買い需要を増やし、その市場機能を回復する道も検討されているというが、まだ日の目を見ていない。日本がかって苦しんだバブル崩壊後の状態にも似た状況があり、日本の体験から役立つことはないかどうか。例えば現在米国の政府短期証券で運用している外貨準備の一部を政府系ファンドに切り替え、諸外国とも協同して、住宅ローン担保証券市場などの機能回復に当たることなども積極的に検討してよいと思われる。にもかかわらず現実は日銀総裁の後継さえ、政局をにらんだ与野党の駆け引きで決められず、思い切った対処の態勢は出来ていない。また、騒動の家元である米国よりも株価の下落率は大きく、円高によってダブルパンチを受けている。原油価格の高騰はコストや物価の上昇で波及しつつあり、そのしわ寄せが中小企業に強く現れてくることにどう布石を打つのか、手がついていない。企業の好業績を働く人たちに還元して経済を良循環させる好機であったのに、先行きの世界経済の見通し難から賃上げの動きがなえつつあるなど問題は山積している。日本が未来を見据えてこの荒海を果断な意志でこえてゆくべき時にこうしたちぐはぐさは見過ごせない。これを修復するには、それぞれが原点に戻り、個々の利益と全体の利益とのつながりをよく意識した発想と行動原則という王道に立ち返るという転換が必要と思われる。
'08.3.19.朝日新聞
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