散歩道2307                    <1019b>

                    経済気象台(314)・代々革新してこそ老舗

 老舗(しにせ)という言葉は多用な使われ方をしているが、本来の意味は為似
(しに)からきている。親のまねをして家業をついで行くことである。その象徴として看板やのれんが使われる・古いものほど信用を積み重ねてきたしるしである。だが、時勢の変化に伴う老舗の浮沈みは激しく、3代続くのも困難である。そのため経営の継続が尊重される。だから、老舗は信用を大切に地道な経営を続けてきた。食品偽装問題は、その意味で老舗からの脱落である。いたずらに成長路線を追求して、老舗としての信用を軽視した結果である。一般に老舗のイメージとして、堅実経営、保守経営とおもわれがちだが、永続していくためには、改善工夫し、常に更新することが重んじられる。信用の上に胡坐を書いているだけではない。それでも企業が永続するのはそう容易なことではない。業種と企業の寿命は関連性が高い。食品など生活関連は需要が安定していることから相対的に長い。老舗は製造業、卸、小売などあらゆる分野にわたっている。地方にいくと思いもよらない老舗に出会うことがある。その地位地域の伝統文化の奥深さを感じさせる。古い話だが、1980年に大阪で実施された企業調査に参加した経験がある。その結果を見ると100年以上も経つと少なくとも3回は業種転換している。単純に、企業の寿命はほぼ30年を一巡と考えておかねばならない。一方、こうした中で業種が変わらない老舗も見られた。それは金融、食品、建設、薬品などであった。そうした業種も90年代以降大きく変化し、倒産が相次いだ。老舗といえどもちょっとの油断もできない時代だ。今日ほど経営者の感性、能力が問われる時代はない。経営者が従業員、顧客、株主をひきつける魅力と何より徳を備えて経営にあたらないっと、老舗と呼ばれる資格はない。

'08.2,27.朝日新聞


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