散歩道<2287>
経済気象台(306)・日本の金融機関は臆病か
欧米金融機関のサブプライム*1関連損失が拡大している。新聞報道によれば、金融大手が被った損失は、これまでわかっあtだけでも7兆円を越える。わが国の金融機関も損失を出している。しかしその金額は、欧米の1割にも達しない。それをみて、日本の損失が小さいのは、リスクを積極的にとらなかった結果にすぎない、日本が臆病だからだという人がある。はたしてそうか。欧米金融機関が損失を計上したのは、ハイリスクハイリターン商品を積極的に購入し高い利回りを得ようとしたが、それが裏目に出た結果であることは事実だ。しかしそれは、運が悪かったからでもなく、たまたまそうなってしまったものでもない。これまで世界中で幾度となく繰り返されてきたバブルとその崩壊、わが国の同様の経験に照らしてみると、彼らは損失をこうむるべくして被ったのだ。明らかに返済能力が低い借り手に対し、金融機関が巨額の融資をし続けたのは、資産価格の上昇が更に続くという過度に楽観的な期待があったからだし、オフバランス化によってリスクを分離した結果、審査や管理が弛緩したためだ。その根底には、過度に緩和的な金融政策が長期にわたって続いたことがあった。それらの前提が崩れた時、ブームは終わった。もし日本の金融機関がバブルを経験せずに、欧米と同様の環境に置かれていたなら、同じことをしたかもしれない。しかし、我が国の金融人は総じて慎重だった。ITブームの最中にもかかわらずネット企業に投資せず、収益機会を逃していると批判された米国の投資家ウォーレン・バフェット氏のように。彼らは「理解できない商品」には投資しなかった。金融当局の監督も厳格だった。我が国は自国の失敗に学び、欧米は日本の失敗に学ばなかったことが、両者の差を生んだのではないか。
'07.11,27.朝日新聞
関連記事:散歩道<検索>言葉・サブプライム*1