散歩道<2284>
経済気象台(303)・インド人の夢
1月、インドのタタ・モーターズが地元のモーターショウで超低価格小型車を発表した。公約どおり、10万ルピー(約28万円)を実現するとともに、大人人がゆったり乗れる室内と動力性能、欧州並みの環境基準とインド国内の安全基準を満たす「ファミリーカ」に仕上がった。想像を超える超低価格は、どのように実現されたのか。タタは最大の要因を「小型化の徹底」と説明する。小型化は材料の使用量を減らし、生産コストを減らすからだ。だが本当の鍵は部品メーカーが握る。タタは部品のほとんどをインドの民族系大手部品メーカーや現地経験の長い欧米部品メーカーに外注しているからだ。車体の外板パネルや主要エンジン部品など、通常の車メーカーが内製する部品まで外注してコスト削減を実現した。タタは外注先選定に際し、部品価格を従来比2〜5割減、最大で3分の1に引き下げる目標を設定。その実現のために、様々な設計変更や機能の絞込みが検討された。その結果、最廉価モデルからブレーキブースターやエアコン、ラジオなどが取り払われたが、燃料噴射装置などは新規に開発された。また部品発注先を決めるとは別に、補欠の部品取引先を決定。発注先をいつでも変更できる態勢とし部品メーカが絶えず品質改善や生産性向上に取り組まざるを得ない状況をつくった。それでもコスト削減の余地の少ない部品分野では部品メーカーの利益率がカットされた。その引き換えに示されたのが生産開始2年目に年間30万台、3目に同50万台、5年目に同100万台という量産計画。利益率が低くても生産規模が拡大すれば、ビジネスとして成立するからだ。超低価格は国内市場を活性化し、大規模生産が可能になる。それは「インド人の夢」であり、超低価格を実現した最大の要因でもあったようだ。
'08.2.13.朝日新聞
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