散歩道<2272>

                         けいざいノート・政治と経済政策(1)                     (1)〜(3)続く   
                      なぜ路線が定まらない・自由主義を対立軸に

 与野党の垣根を越えた勉強会ができるなど、政界再編の布石か、と報道されるような政治家の動きが目立つ。しかし、経済政策に関しては与党も野党も異なる意見が混在し、政策路線にまとまりがないように思える。過去10年間、経済政策に対する永田町の考え方は、振り子のように振れてきた。90年代は、なるべき市場競争をさせずに政府によるお金の再配分で国民をなだめる、という政策路線が続いた。この種の政治に国民が飽き飽きしていた2001年に、小泉政権が誕生した。このころ、少なくとも政策思想としては自由な市場経済をよしとし、公共事業を削減してばらまき財政から脱却しつつあった。メディアも世論も構造改革ブームに飲み込まれた。自由主義思想も、軽薄な拝金主義も、いっしょくたに「改革」とされ、それに反対する議論は抵抗勢力とレッテルを張られた。いまは、まったく逆方向に振り子が振れている。かって「改革」だったものが、「市場原理主義」と呼ばれ、格差や経済犯罪などの社会悪を助長しているかのように避難される。政策の方向も小泉政権以前のばらまき財政路線に逆戻りしつつある。与党も野党も、同じようにある時は改革といい、またある時は格差と言っているように思われる。これからかりに政界再編があるとしても、時代に流されない根本的な対立軸がなければ、安定した政治構造は生まれないのではないだろうか。

'08.3.22.朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏

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