散歩道<2220>
                         経済気象台(285)・英国住宅金融会社問題   

 久しぶりに英国出張をした。金融街はシティーと決っていたが、今はテムズ川をロンドンブリッジから少し下がったカナリーワーフという場所に銀行や証券会社のオフイスが新築されている。そこで、英国北東部に地盤の中心がある。住宅金融会社のノーザン・ロック(NR)の救済策についての話題を聞いた。NRの住宅ローンの残高は約4兆円と、英国第5位の位置である。76箇所しかない支店で集めた預金、投資家や金融機関からのパッケージローン やそれらを流動化した債権により資金調達してきた。しかしながら昨年8月にサブプライムローン問題が深刻化し、投資家やヘッジファンドがNRの債権を買わなくなり、資金調達が不能となった。続いて9月には市場で身売りの話が伝わり、預金者による大規模な取り付け騒ぎまで発展したのである。政府や中央銀行も苦肉の策として、NRに対し250億ポンドの緊急融資を行い、1応騒ぎは収まった。問題は5兆円もの多額の税金資金を、金融システム不安解消とはいえ信用力に問題のあるNR1社に投入したことである。直近、政府側により新たな提案が出された。緊急ローンに見合う債権をNRに発行させ、政府の保証をつけた期間50年までの債権を投資家に売却することで資金を調達し緊急融資を返済させ、その一方で、NR自体を民間セクターに購入させるという案である。今回の英国にとっての教訓は、小額預金者保護機構や金融機関のセーフテーネットの必要性であろう。同時に経営の問題点を徹底追及し、救済方法についても国民に対して十分な説明が必要となろう。日本も金融システム不安に直面し様々な経験をしたが、サプライムも日本の金融機関に多かれ少なかれ影響があったわけで、英国の住宅金融会社問題も他山の石として気を引き締めるべきだろう。

'08.2.8.朝日新聞