散歩道<2189>
ボランティアの義務化(3)・入り口は強制だっていい (1)〜(3)続く
専門知識や経験のない若者を急に動員して役に立つのかという問題は確かにある。ならば、そうした若者たちに適した職種を設ければいい。お年寄りの話を聞くのはどうか。自分史を聞き書きしてあげるのも喜ばれると思う。足をふく。洗髪する。つめを切る。ゴミを出す。相手のために何をできるのか考えることが大切なのだ。国家による奉仕の強制というとすぐ徴用とか徴兵に結び付けて語られるが、それは古い硬直した考え方。軍事や徴兵とはまったく関係がない。ドイツでも若者が兵役の代わりに、福祉の分野で奉仕する制度がある。日本人は、恐ろしい顔をして歯をむき出したような国家という魔物が生きていて、それが悪いと考えているように感じる。そんな擬人化はやめた方がいい。私にとって国家とは「同胞」のこと、隣人のことだ。私は仲間の日本人に尽くすことが悪いことだとは思わない。
’06.12.1.朝日新聞・作家・曽野綾子さん
関連記事:散歩道<検>女性、<検>教育、<検>発想、