散歩道<2115>
経済気象台(264)・理想の経済社会と現実
「皆さん、金儲けって悪いことですか」かって注目を浴びたファウンドマネージャーの言葉だ*1。彼はいま、証券取引法違反の罪に問われ、一審で有罪判決受けて、控訴中の身だ。金儲そのものは、悪いことではない。しかし、経済活動は金儲けと常にイコールではない。手段、方法、目的、そして結果を少し間違えると「守銭奴」と呼ばれ、軽蔑されてしまうのだ。だが、いつの頃からか、手段や目的は問わず、結果さえよければ万事よし、といった風潮が強まっている気がする。「参加することに意義がある」といわれたオリンピックで、選手のドーピング違反が後を立たない。「勝つこと」が、その後の「稼ぎ」を大きく左右するからだろうか。日本でも高校野球では「特待生制度が問題となった。「お受験」という言葉も最近ではよく聞く。幼稚園や小学校から受験競争にさらされ、学業成績で評価されるようになっている。大人たちは、大切な子供たちが「点取り虫」になることを望んでいるようだ。グローバル化で国境の壁が低くなり、資材と資本が世界を自由に動き回り、国境を越えて人が活動し、技術が移動する。分業が国際化を進め、国際化の中で新しい分業が生まれる。宗教も文化も国籍も異なる人同士が助け合い、支えあっていく。これが近未来に実現するであろう経済活動だ。理想論だと片ずけるのは簡単だが、そういう社会になれば、「守銭奴」や「「点取り虫」は受け入れられない。企業も、「人類社会に貢献し、社員の幸せに貢献する」という理念や行動がなければ、どんなに業績がよくてもやはり同様だ。結果ばかりを追い求める最近の風潮を見るにつけ、我々は人間や企業の持つ多様な可能性をいつの間にか見失ってしまったのだろうか。
'07.12.1.朝日新聞
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