散歩道<1969>

                        経済気象台(227)・政治と経済

 安倍改造内閣は発足早々に農相の辞任でつまずき、視界不良となってきた。先行き政界の再編成にもつながる可能性があり、経済界としてもどう政治と対応してゆくか目が離せなくなってきた。なぜなら参院選における自民党大敗の原因の一つでもあるが、市場原理主義や弱肉強食の論理に対する国民の反発も無視できなくなったと思われるからである。いざなぎ景気を上回る企業業績の長期持続にもかかわらず、雇用面で正社員の半分にも満たない所得の非正社員の比重が大幅に増えたままであり、労働分配率も上っていない。経済界としても長い目で見れば労働の質を上げ、会社の協同力を高めるために、雇用面での改革を行う中で、利益を国民に還元する道筋を整える必要があろう。また、その1方では諸外国との比較で劣位にある法人税率を引き下げるために国民の理解を求めてゆく必要もある。こうした態勢の立て直しをどう進めるかが政治との間で考えてゆくべき課題だと思われる。世界的にみてもサブプライムローン*1問題で各国の金融、経済が大きく揺れる中で、金融や経済のグローバル化の負の側面が大きく浮き彫りになってきている。何のための経済か、という原点に立てば、市場原理主義や弱肉強食の論理では21世紀の大きな課題である地球環境問題は解決しないし、社会的連帯の分断による孤立化、エゴイズム、ニヒリズムの広がりは、人間の幸せの実現とは逆行することもはっきりしている。何が人間にとっての本当の充実であり、幸せであるのか。それが国づくりの基本であるとすれば、そのビジョンやステップを用意していく上では、行政にももっとやれることがあろう。それを含めて、政治と経済界そして行政の三者が虚心坦懐(たんかい)にそれぞれのなし得ることを出し合って目的を見直し、足並みをそろえることが必須だと思われる。

'07.9.6.朝日新聞

関連記事:散歩道<1628>*1経済気象台(137)・信用不安の足音、<1680>*1経済気象台(142) ローン・日米バブル事情、<1896>*1米発 住宅ローンショック(1)・信用不安世界駆ける(1)〜(3)<1954>*1補助線・サブプライム危機(1)・ババ抜きの行く方は?(1)〜(2)続く