散歩道<1927>
定義集・「小説家が大学で学びえたこと」(1) (1)〜(4)続く
アマチュア知識人の大切さ
ロシア・ポーランド文学の研究で世界的な友人から、東大教諭学部の学生の、文学部へ進学する数がジリ貧なので、どのような希望を抱いてフランス文学科に入ったか話してもらいたいと依頼がありました。私は、高校2年で読んだ本の著者の教室へ行こう、と希望しただけなので、、強いて言えば「知識人になるために」だった、という講演をしたのですが(記録は『スバル』八月号)、先生や友人の話に熱中して、寄せられた質問に応える時間をなくしました。
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遅ればせながら、その幾つかに応えます。1、あなたは老年ですが、どんな年金を受けていますか?という時事的なトピックのものから。
同業者に文化功労者や芸術院会員の、また同級生に大学教授を勤め上げて、年金を受けている人はいますが、私はありません。長男の「心身障害者扶養年金」へ240回はらいこみましたが、石原都政が制度を廃止したので私らの死後かれにも年金はありません。
2、大学の理学部ほかでの専門研究を発展させて、その成果をあげ、政府・企業に「取り込まれる」立場にもなった専門家たちに、あなたは冷淡なようでしたが、この国に(世界にさえ)経済的発展をもたらしたのは、彼らではありませんか?
'07.6.19.朝日新聞・作家・大江健三郎氏
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'09.1.NHKで、今若者はどう生きるべきかという質問に大江さんは次のように応えた。いま若い人は、内向的に自滅的になっている(自己閉塞的)、自分さえ良ければいいといった自分以外の人のことを考えようとしない。不景気は経営者にも、小説家も同じような環境におかれている。若い人に伝えたいエドワード・サイードの言葉がある。「人間のやっていることだから解決はできるだろう。意志=Willの力による楽観主義を貫ぬき、自分はあきらめない。私の好きな言葉がある。「苦しいところから立つ、まっすぐ立つ」という言葉です。2009年1月22日
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