散歩道<1915>

                          経済気象台(202)・安易すぎる新製品

 熱さには閉口並行するが、「ビールと枝豆」による毎日の「暑気払い」は楽しい。お店に入り「ビール」を注文すると、「K社しますか、それともA社?S社もございます」とくる。判断にちょっと困る瞬間だ。K社だったら○○○かそれとも△△△か、A社なら相変わらず□□□か、ともかくビール類の銘柄が多すぎるのだ。駅前の酒屋の主人に聞いてみた。「銘柄の数はどのくらいあるのでしょう」「ビールや発泡酒の他にも、日本酒、焼酎やウイスキー、ワイン、ウオッカ、ジンなどをベースにしたカクテル類もあわせると、いったいどのくらいの種類の缶や瓶が発売されているのかわかりません。次から次へと登場し、どんどん消えていきます。勿論店の冷蔵庫には並べきれません」。コンビニにとっても同様である。一見、商品の種類も多い様だが、ほとんど同工異曲である。たまに他社がヒットを打つと、みな右へ倣えで似たような商品を発売する。そこには創意工夫*1はみられない。近年でいえばプレミアム・モルツ、古くはスーパードライの登場時、大ヒットした商品にはいつも発売までの苦労の物語がある。「ドライ」がヒットしたから「我が社もドライ」を、「プレミアム」がヒットしたから「我が社もプレミアム」を、ではあまりに芸がなさ過ぎるのではないか。商品の命はコンセプトづくりにある。いや、酒に限らない。クルマも同様だ。日本にどれだけたくさんの車種が出回っていることか。初期のカローラ、あるいはスカイライン。さらにはシビックでもよい。時代を画する商品には血みどろの苦闘が付きまとっている。書店の棚を席巻しつつある「新刊本」も同様だが、安易な「新商品」の発売は、消費者の選択肢をかえって狭める。多すぎることによって欲しい商品が見えにくくなるのだ。

07.7.朝日新聞

関連記:散歩道<110>*1スキーとゴルフと海水浴があります。竹村様の話人が右向くから自分は左向く、やらないからやる>、散歩道<127>*13Kの話はにあります。<190>*1欲しいものは売れる(感動商品)<322 >*1蛍・BMV50代の社長、<検索>発想を代える。