散歩道<1901>

                     
美術展・心の原風景を求めて・麻田 浩さん

 今まで見た絵画展とは違う、なんとなく暗く重いまた判りにくい展示品が数多く並べられている。そこに描かれているものが何を意味しているのか、全部見終えてもよくわからない、このような展示会には余り出会ったことがない。そこに描かれている背景は、海底なのか、宇宙なのか、想像の世界なのか。建物も色調から廃墟のイメージである。その人なりが気になって買った本を読んでみた。父、兄が有名な画家*1、大学は美術学校ではなかったが、学生の時から美術に目覚められ、会社員にもなられている。その後フランス、イタリーなど12〜3年間、欧州で勉強されるその時に西洋を代表する人との接触がある。実に数多くの作品展、展示会に参加されている。賞をもらわれている数も多い。日本に帰国され、多くの画家との接触がある。有名な作家の作品の表紙を飾る絵としても多数出されている(松本清張・三島由紀夫・高橋たか子・中上健次・石原慎太郎等)。その説明によると、現代という時代に潜む不安感を示すような「原風景」、「原都市」と題される「一連の心象世界」だそうだ。表現しようもない不安定な世界を予感するような不思議な絵である。昆虫の体の一部であったり、海底と思われるようなイメージ、波が引いた後のその様子など、無造作なのが自然の姿とも思われ、水滴と思われるしずくの光りに、これは本物のしずくが張り合わされているのではないかと思わず真横から何度も覗いてみた。

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