散歩道<1877>

                          経済気象台(190)忘れられた中小企業問題

 政治家のお題目となっていた「中小企業のために」という言葉は今回の参院選で、ほとんど聞かれなかった。日頃でも中小企業対策については、それほど意識されなくなっているように思える。「世界に冠たる日本の中小企業と充実した対策」という評価があるように、もはやかってのように中小企業の重要性を訴えなくてもよい時代になってきたのかもしれない。しかし、それにしてもこれでよいのかと疑問に思えてくる。いま中小企業対策といえば、ベンチャービジネスか新規開業の支援に国を挙げて全力投球している。開業率低下の下支えになっているものの、依然として廃業率がそれを上まっている。6月の近畿地区の企業倒産数(帝国バンク調べ)をみても前年同月比56%増と、特に零細企業で続発している。ところで、1963年に中小企業基本法を設定し、中小規模企業・小規模事業者を区分して「中小企業」としたのは、これら企業が自ら経営努力をしても克服できない問題を抱えているとの認識からであった。その問題は時代、経済環境によって異なってくるだろうが、基本的には金融が重要である。金融問題を解決できれば中小企業問題の大部分は解決する。2005年、資金調達に悩む中小企業を救済するために新銀行東京が設立されたが、07年3月期決算ですでに849億円の累積赤字に達している。とはいえ、危険を冒したくない民間金融機関、保証・担保主義に依存する公的機関では十分出ない。さらに重要な点は、公正取引委員会の独占行為監視強化である。今日、世界的競争が進む中で、正常な取引関係が行われているか、犠牲を強いられていないか、十分中止していく必要がある。これら基本政策をしぅかり実施することにより、中小企業の安定した発展があり、社会の安定が得られることを再認識すべきである。

'07.7.朝日新聞

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