散歩道<1839>
経済気象台(178)・三つの定款規定
どのような組織にあってもその組織の根本規範を定めたものがある。会社にあっては、定款である。定款に記載しなければならない事項は、会社法で具体的に定められているが、それ以外の事項を定めることも可能である。いま話題の「買収防衛策」も、その一つの例である。株主総会は、法令と定款に定められた事項のみを決議することができる。そこで、定款に「当会社株式の大量取得行為に関する対応策の基本方針を、株主総会の決議により定めることが出来る」との規定を追加し、この規定に基づき、買収防衛策が決議されている。CSRの取り組みで先進的な会社であるエーザイ*1は、一昨年の株主総会で「企業理念」を定款に規定した。そこでは「患者さまとそのご家族の喜怒享楽を第一義に考え、そのベネフィツト向上に貢献することを企業理念と定め」、「社会的責任の遂行に努める」との崇高な理念が語られている。一方、たび重なる談合事件で世間を騒がせている大林組は、6月下旬に開催予定の株主総会で「法令遵守及び良識ある行動の実践」を定款規定に新設すると発表した。具体的に「入札の公正、公平を阻害する行為を一切行わない」と規定するという。「談合」を行わないことを、端的に定款に定めようというわけである。買収防衛策の導入を決議するための手段としての定款規定はうなずける。一方、企業理念を定めるとか法令順守・良識ある行動の実践をうたうことについては、そのこと自体、反対する人はいない。しかし、これらを定款に規定した場合の効力は不明である。また、会社の根本規範として、その内容が一義的でなく、受け取る人によって意味が異なるのでは困る。精神規定・訓示規定と考えるのでは、あまりにももったいない。うまく法的な意味付けができないだろうか。
'07.6.19.朝日新聞
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