散歩道<1832>

                              社説・盧溝橋事件70年(4)              
 (1)〜(4)続く
                                   
もう1歩、踏み出す勇気を 

 首相の南京訪問を
 残念な世論調査結果がある。米国のピユー・リサーチセンターの今春の調査によると、中国を「かなり嫌い」「どちらか言えば嫌い」とする人が日本では67%にのぼった。調査の対象となった47カ国・地域でもっとも高かった。同じように中国人にも日本を嫌う傾向が強い。
 今年は日本と中国が国交正常化して35周年にもあたる。盧溝橋事件からの70年間の半分は、関係正常化の年月でもあったのだ。それなのに、こんな数字が出てしまうことを私たちは深刻に受け止めなければなるまい。
 政治の役割りは大きい。安倍首相になって、両国関係が修復の方向に動き出したのは歓迎すべき動きだが、もう1歩、勇気を持って踏み出せないものか。
 例えば、南京大虐殺をめぐる論争を建設的な方向へ押し出す。犠牲者数について中国は30万人と主張するが、いくら何でも多すぎないか。一方、あれは虚構だといわれれば、中国側が反発するのは当然だ。両国の歴史共同研究で冷静に検討が進むことを期待したい。
 そうした中で、日本の首相が南京を訪れてはどうだろう。小泉前首相や村山元首相は在職中、盧溝橋の抗日戦争記念館を訪れた。論争は専門家に任せ、現地を訪ねて慰霊する。中国の人々からも、国際社会からも歓迎されるはずだ。この年を、感情と怒りがぶつかり合う年にしてはならない。


'07..7.7.朝日新聞