散歩道<1811>

                  この人この話題・
都市集中(1)選択は二つ、発想の大転換を         (1)〜(4)続く
       
 コンスムとNOVAの連続不祥事は、急成長する昨今の新興企業の怪しさを露呈するとともに、はしなくも現代文明の本質問題を再確認させることになった。考えてみれば自明尾話だが、対人サービスと地域分散は両立しがたいということである。
 それぞれ介護と教育を提供する企業だが、どちらの場合も、担当できる人数と、一人が担当できる広さは限られている。拙速な全国展開を計れば、無理が生じるのは当然なのである。なんとか両者の当面の不祥事は片ついたが、高度のサービスと広域分散の矛盾という、本質的な問題は残されている。
 病院や大学をはじめ、劇場や博物館やホテルや料理店など、現代人が必要とする文化産業はすべて分散になじまない。経済的に不合理だというだけでなく、分散供給すれば質が落ちるのである。何より都市の盛り場は現代生活の不可欠な中心であるが、これは集中そのものが生み出す文化装置なのである。

○ ○ 

 かって日本の工業社会が頂点にあった頃、人々は分散に絶える生活様式をもち、サービスの内容も全国均一に貧しかった。娯楽の主力はテレビや映画館であり、病院や大学の専門分化も今のように進んではいなかった。消費者はどこに住んでもほぼ同様のサービスを受けられ、東京の盛り場のにぎわいも今ほど魅力的ではなかった。
 

'07.7.2.朝日新聞・劇作家・山崎正和氏

関連記事:散歩道<178>面白い話、<207>小泉文夫様・山崎正和様の本、<216>丸谷・山崎様の本より、<449>-17、面白い話・でっかい、<999>パネルデスカッション この国の行く方を探る(1)〜(4)<1331> 保守とは何か・政治にはありえぬ立場(1)〜(5)