散歩道<1687>
経済気象台(148)・トルコと日本
トルコは、稲本と選手やジーコ監督のサッカー以外なじみが薄い国かもしれない。だが、以外に身近だ。ヨーグルトはトルコ語が語源。オランダの象徴チュウリップも、トルコのターバンが語源で、トルコでも国花。オランダは16世紀に輸入し、投機でチュウリップ・バブルを起こした。世界のバブル史の始めに、トルコは震源地として登場するのだ。そのトルコにいくと、「日本は名誉と信義を重んじる国」と、みな日本への敬意を口にし、日本の現実との落差に戸惑うほど。言葉は違うが文法が近く、中央アジアから西に移動したのがトルコ、東に移動したのが日本、と親近感を持つ。トルコから日本への空路は、この親近感どおり、中央アジア諸国の上空をなぞるようにたどっていった。現在は、自動車メーカをはじめ日本企業が活躍している。日本のODAは第2ボスポラス橋が有名だが、草の根の貢献もあった。トルコ式の敷物キリムは、農村の女性が家で織り共同組合で販売する仕組みがある。JICAの専門家の提言によるもので、女性の就職が難しい社会で、生きる道を切り開いた。トルコは放漫財政で、インフレ、通貨危機、銀行破綻(はたん)に襲われたが、IMF資金で立ち直った。EU加盟に備え経済の開放をすすめ、原油のジェイハン・ルートも開通し、外国企業がきゅうぞうして、日本企業がめだたなくなった。豊富な農産物、革製品、繊維製品などは、世界のトップブランド名で売られているものが実はトルコ産だという。東欧やBRICSなどの新興成長国の雰囲気に近い。トルコはEU加盟資格のある西の国なのか、イスラムやアジアにルーツを持つ東の国なのか、悩んでいる。市民は、西も東も悩みながら共存するのがまさにトルコ、と割り切っている。米欧とアジアの間で揺れる日本にも、共存せよと語りかけるようだ。
'07.4.20.朝日新聞
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