散歩道<1627>
経済気象台(136)・リアルとバーチアル
近年の通信とITの技術の進展はすさまじい。それに支えられて、バーチアルな世界の日常生活への浸透が進んでいる。野村総研によると05年の日本でのeコマース(電子商取引)は、消費者向け(BtoC)市場で3兆2千億円に達したという。同社の予測では、11年にはこの市場が6兆4千億円に倍増するとされている。また、05年中にモバイル取引を経験した人の数は、500万人を超えた模様だ。確かに我々の日常生活を顧みると、パソコンやモバイルは必需品になっている。以前なら調べものをする時は図書館や新聞・雑誌に頼ったが、最近ではもっぱらパソコンだ。買い物をするに際しても、何がどんな値段で売られてるのかを簡単に知ることが出来るので、あらかじめ価格のめどをつけてから出かけることが多くなった。それだけではない。情報の信頼性の面でもバーチアルがリアルを打ち負かしつつある。店頭で説明を聞いても、店員さんの説明がスムーズであればあるほどうさんくさく聞こえる。目的は商品を売ることにある限り、その印象は免れない。一方、ネットでは、その商品に興味を持つ人のブログに行けば、純粋な評価にであえる。いろんな角度から検討が加えられており、利害関係もないため、こちらの情報が重んじられがちだ。バーチアル情報の強みは、一部の意図的な情報を除いて、利害がないことだ。情報の質に問題なしとはしないが、多くの意見を聞くことができ、選択できさえすれば、客観的な意見に接することも可能だ。バーチアルな世界は、さらにBtoB(企業間取引)にも着実に広がっている。と当局も真剣に「電子登録債券」のインフラづくりに取り組み始めた。リアルとバーチアルの垣根は確実に下がっている。既存のビジネスモデルは今、大きな転換点を迎えている。
'07.3.1.朝日新聞