散歩道<1593>

                  鶴見俊輔さんと語る・伝えたいこと(1)     対談相手・比較文学者・四方田犬彦氏    (1)〜(4)続く
人間が本当に伝えたいことは、どこにある。比較文化がう者四方田犬彦さんと、映画や指定のことを語りながら、目に見える文字や身振りの後ろで渦巻いているものに向き合った。

小・中学生が授業中に描く落書きは研究されていい(
四方田) 水木萬賀には、傷病兵ならではの戦場の実感がある(鶴見) 
 鶴見この間、映画「ユメ十夜」原作夏目漱石「夢十夜」を見ました。感心したね。その中で解るんは、他のジャンルに対して触媒を務めるのが漫画だということなんですよ。漱石先生が苦吟して原稿を書いていると、パラソルを持った若い女性が何人か来て声をそろえて「鴎外せんせ〜」。これはあきらかに漫画の呼吸ですね。
 四方田 監督11人の中の一人、市川崑は初期に横山泰三の漫画「プーサン」を映画にしています。不思議ではありませんか。
 鶴見 歴史的に見ると、日本の漫画の源流は鳥羽僧正の「鳥獣戯画」と落書き、例えば奈良の法隆寺などに残った落書きですね。手塚治虫もノートに書いた落書きから出発して戦後すぐ、大阪で本にしてもらっている。
 四方田 当時の小松左京もモリ・ミノルの名で漫画を書いていたが、手塚さんの作品を見て、負けると思い、SFに行ったそうです。小、中学生がノートに授業中にちょこちよこ描く、商品になる前の落書きは研究されていいテーマですね。
 鶴見 あだなは言語を使った漫画です。それから、はねつきで失敗すると顔に墨を塗るでしょう。あれは芝居かされた漫画ですよ。
四方田 
強制連行のドキュメンタリーをつくる在日韓国人に聞いた話ですが、加害者は如才なくしゃべるけれど、被害者は訥弁だったり
(とつべん)、口ごもったりする、そういうところや身振りは、文章にすると落ちてしまう。残すにはカメラしかない、と。
 

'07.3.6.朝日新聞・鶴見俊輔さんと比較文学者・四方田犬彦氏

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備考:京都浄瑠璃寺の三重塔の壁に描かれた像は人物の服装から平安〜鎌倉の散楽(さんがく)と呼ばれるイナバウアと、大陸伝来の曲芸、刀の回転を表す効果線は、12世紀の鳥獣戯画でも見られるそうだ。2007年3月20日朝日新聞、