散歩道<1578>

                         思潮21・テレビ番組と「社交仲間」(1)          (1)〜(4)続く
                         報道と娯楽の混在 非政治化する政治

 古代ローマの喜劇役者プラデスは。大げさな秘術で人身を惑わすとアウグストゥ帝になじられた時に、臆せず抗議したという。「陛下人民が我々の芝居を見て面白がり、暇つぶしをしているのは、あなたにとって好都合ではありませんか」と(ポール・ブエーヌ『パンと競技場』)。歴史上確かに政治家は、国民が自分たち芸人の問題に口出しするのを嫌ってきた。これは市民の政治的無関心にも責任がある。現在でも、スポーツやギャンブルを楽しむ観衆に政治へもっと関心を持つよう期待しても、選挙の投票率はなかなか上がらない。この理由は、ユウェナリスの有名な表現を借りるなら、満ち足りた市民にはパンとサーカス、すなわち日常生活への満足と娯楽・快楽の麻酔が効いているからだ。

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 折から1部のテレビでは、報道と情報・娯楽(バラエテイ)の敷居が消えてしまった。テレビでも事実を厳密に検証しょうする報道と、根拠薄弱であっても醜聞を扇情的に伝える情報・娯楽番組の正確は違うはずであった。しかも同じ時間枠での両者の混在は、『公共性の喪失』の著者リチャード・セネットのいう「現代の共同体体験における友愛の悪用」ともいうべき現象を生み出している。
 

07.3.1.朝日新聞・東京大学教授・山内 昌之氏

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'07.4.2.朝日新聞・私の視点「テレビと政治・バラエティはすべては悪か」という・田原総一郎氏からの意見が発表になっている。