散歩道<1567>
鶴見俊輔さんと語る・生きる覚悟(1) 対談相手上野千鶴子さん (1)〜(4)続く
「人生の、下り坂」を自認する社会学者上野千鶴子さん。日本の学校教育の衰退を憂える鶴見俊輔さん。独自の発想で語る2人は、展望の見えない今の日本で、押し付けられた型にはまらない個人として生きる覚悟を迫る。
老後は自立できないということをいかにうけいれるか(上野) 老いて覚悟を持って生きている女性は多いが、男は少ない(鶴見)
上野 私の父はガンで苦しみぬいてなくなりましたが、最後の15ヶ月間、毎週末、東京から金沢へ戻って病院で付き添いました。付き添いの人も頼み、費用はかかりましたが、父のお金は父が生きている時に使おうと、兄、弟と3人で決めました。医師だった父は家庭では暴君だった。私は軽蔑していましたが、父なりにやさしくしてくれましたから、この人の死ぬのを見届けようと思いました。入院した父は夜、眠れないので、戦争中の話を聞いたりしていました。介護の悩みを分かち合える兄弟がいることを父に感謝しました。鶴見さんは老いをどう感じられていますか。
鶴見 私がもうろくを自覚したのは70歳のころからです。今はもうろくを濾過(ろか)器として使っています。細かいものは通してしまい、重みのあるものだけが残る。それを中心に考える。
上野 自尊心、自立心の強い男性が家族、他人に介護される体験を言語化した例は少ない。リハビリのことは書かれても、妻による介護についてはあまり書かれていません。
鶴見 身内と思うのが都合が悪い。身内とは何か、きちんと問い直さねばいけない。
'07.2.20.朝日新聞・鶴見・上野千鶴子さん(社会学者)
関連記事:散歩道<146>老いの考え方、1,アメリカ人女性、2、日野原さんの本・石原さんの本、3、村松友視・西尾皆香の対談・4、塩野七生さん、5、ピーコさんの話
<1026>〜<1027>常識の外側・高齢者頑張れ、<1401>鶴見俊輔さんと語る・中村哲さん、<1541>鶴見俊輔さんと語る・妻尚中さん、<1572>鶴見俊輔さんと語る・徳永進さん、
