散歩道<1538>
世界の窓・アジアの知的リーダたれ(3) (1)〜(3)続く
そうは思わない。日本には人間が住むに適したすばらしい自然の恵みがあり、充実した社会資本がある。高度な技術開発や調和の取れた社会実現にさらに力を入れていけばアジア、世界をリードする強力なソフトパワーを持つことができるだろう。幅広い分野のソフトパワーを支えるのが人材の育成であり、これこそが日本を再生させる条件である。経済成長は驚異的で深刻な内部矛盾を抱え、社会資本・人材育成インフラの乏しい中国が容易に追い越せない部分である。その強みが生かされれば中国との相互補完も可能になってくる。手前味噌だが、私の大学ではアジアの主要大学と連携し、すでにそうした人材育成拠点を目指すプログラムを本格的に立ち上げ始めている。日本がソフトパワーで世界をリードするために必要なもう1つの条件は、世界とりわけアジアから尊敬をうけるにたる国になることであろう。そのためには@平和主義、民主主がをより充実させること(憲法の精神を守り、生かすことが国際的なアピールになる)A国境を越える国際的な諸問題解決に積極的に取り組み、国益むき出しでない真の国際貢献という評価を受けること、B隣国との間に存在する領土・領海。歴史認識、靖国参拝といった「対立・係争」問題の解決のために創造的な知恵を働かせ、強調・協力・共生のモデルを構築することである。もちろん、それは容易ではない。しかしこうした努力を通してこそ隣国との信頼関係が生まれ、「尊敬され頼られる日本」が可能となり、ソフトパワーを効果的に発揮する知的リーダーとなることができるのである。
'07.2.21.朝日新聞・早稲田大学教授・天児慧(あまこさとし)氏
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