散歩道<1531>
世界の窓・アジアそれぞれの「解放」(2) (1)〜(3)続く
皇民化に同調した者、反抗した者、そして詩歌や音曲に身をゆだねた者・・・・いろいろなタイプの反応があったようだ。だからこそ、第2次大戦における日本の敗戦は、台湾にとっては、表面的には植民地支配からの開放であったとはいえ、真の意味での何からの解放であったのかは、必ずしも明確ではなかった。そしてやってきた中国国民党の支配。抗日と反共を正統性の根拠とする政権は、台湾の民主化運動を抑圧した。そして、中国国民党の「抑圧」から解放されたとき、台湾の人々は、台湾の自律性とは何かという、根源的問題に正面から向き合わねばならなくなった。こうして、過去のしがらみからの「開放」は、依然として台湾の人々の心の中に渦巻いている。対岸の中国大陸においては、第2次大戦における日本軍の敗北と共産軍の勝利は、封建遺制と半植民地化した中国からの解放であり、泥沼の内戦と外国の干渉からの開放であった。だからこそ大陸中国では、「戦後」ではなく「解放後」をもって歴史の境目とするのだ。しかし、その中国でも、「解放」後、文化大革命による大量の犠牲者の発生や、天安門事件による民主化運動の抑圧といった出来事の裏にあるものからの完全な「解放」は、いまだなされていない。
’07.1.24.朝日新聞・国際交流基金理事長・小倉 和夫氏
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