散歩道<1460>
NHK・日曜美術館展
1.'06.12.22.解説している多くの人は亡くなられて10年以上たってしまった。生前の生の声を聞く事が出来、懐かしかった。日本は明治後期から大正期、昭和初期と戦争から戦争*1と続く社会は、どうしようもない重苦しい雰囲気が社会全体に漂っていて、決して裕福な状態であったわけではなかった、そこで画家として生きていかれることは、随分厳しかったであろう、画家の苦労が伝わるようである。塗る絵の具を買うことが出来なかった画家の話*2(今東光さん)、特に残念なのは凄く若くして(20〜30代)亡くなられた多くの画家たちの無念さであろう*3。語られている内容に、その絵に向かわれた画家の真剣さが伝わってきる。景色よりやはり人物の絵の方がいいという(藤山愛一郎さん)、西洋・東洋の血が半々に流れていると考えた画家とその作品(小泉清さん)、写実的な美しさを求めて奄美大島に定住し絵に没頭した(田中一村さん)、いつもながら、黒田清輝の絵は西洋人が描いた絵ではないかと思ってしまう(白州正子さん)。ひときわ日本女性の美しさを描かれている上村松園様の絵は透き通るような心の美を感じられる。その上村松園様から教えられたことで上村松篁様が語る、「下品とか、俗とかいうことは非常に悪いことであって上品であるとか格調が高いということは芸術としては当然である」と言うのが面白い。マスコミが盛んでなく、文化に対して評価も厳しかったと思われる時代、これらの画家の絵は、絵の素晴らしさを認める人が側にいてくれたらこそ、今、このような美術展で彼等の絵に接することが出来る。人に認められるというようなことは、凄く大変なことであったろうし、これからもそうなんだろうと思われる。イヤホーンの説明と、絵の側面の文字の解説、ビデオによる懐かしい話など、絵を鑑賞しながら素晴らしい時間を過ごすことはなかなか疲れるものである。私が、興味惹かれるのは佐伯祐三様のパリの落書された町並みの風景である。日曜日ごとに見る美術館同様、森村泰昌様が言われているように実に真面目な雰囲気がする美術展である。
2.野見山曉冶(ぎょうじ)様の話を聞いた。東京芸術大学の同窓生の多くが心ならずも戦地に行かされ、そして返らぬ人となった人が多くいる。野見山様は日本帰ることが出来たのだが、その同窓生の無念さが忘れられなかった、学生時代に描かれた絵や、遺族の了解を得て、遺族の元に残っている絵を集めて美術展を開くことが出来た。彼等が考えていたであろう気持ちを少しは届けることが出来たかと思っている。どんなことがあっても戦争はやってはいけないとつくづく思っているという話であった。2006年12月24日
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