散歩道<1401>

               鶴見俊輔*1さんと語る・国家を超え生きる流儀 (1)  対談相手医師・中村哲さん       (1)〜(4)続く
    アフガン周辺、民衆に国境はなく、ひと続きにつながっている(中村)。   欧米は近代国家の形をイスラム圏に押し付けて誤解している(鶴見)
   
 鶴見 01年、9・11同時多発テロが起きテロ組織が存在するとして、米軍などアフガニスタンを攻撃し始めた。中村さんは,衆議院テロ対策特別委員会で参考人として「自衛隊派遣は有害無益」と話され、私は心を動かされた。
 中村
 ところが日本は、「自衛隊を派遣して米国の手伝いをしており、アフガンでは今、反日感情が芽生えている。日本人であるがゆえに襲撃される危険が高まりつつある。自衛隊は実質軍隊だ。軍を派遣するということは、アフガンを敵国として攻撃するということだ。日本はインド洋での米艦隊への給油といった後方支援だけだというのは通じない。戦争はなんでもないきっかけから始まるものだ、無用な敵を作るのは有害無益だ。アフガンは今、イラク以上に危うい状態だ。深刻な干ばつで、人々が次々に難民になっている。追い詰められた農民が反発し、「対テロ戦争」をする米国はもはや及び腰だ。アフガン政府も人々から信頼されるにはほど遠い。
 鶴見
 欧米の支配を巻き返そうとする力があるんだね。 
 中村 
日本のような近代国家からは、イランやアフガン、パキスタンといった国があるように見えるが、これらはいわば擬似国家だ。民衆の間に国境はなく、ひと続きにつながって動いている。アフガンから隣のパキスタンに逃れた難民は現在300万人。日本がこれだけの難民を受け入れるだろうか。国境を越えた相互扶助や暗黙の合意がある。アフガン人が敵味方に分かれえ戦うときも、わざと的をはずして撃ちあうことがあると聞く。庶民のレベルでは、同じ釜の飯を食うアフガン人だという意識が強い。
        
'06.11.28,朝日新聞・

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散歩道<検>
氏名・*1鶴見俊輔さん


備考:NHK・TV「その時歴史が動いた」で、現在の東京都の基礎を築いた後藤新平は鶴見和子、俊輔さんの祖父にあたるらしい。2008年6月19日