散歩道<1327>

                  時流自論・対東南アジア戦略の立案・(2)               (1)〜(3)続く    

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 こうした官民の取り組みの結果、日本とベトナムとの関係は強化されてきているはずだが、両国の交流に携わる現地の関係者や、日本国内のベトナム大使館の関係者の間では「日本の協力体制が不十分だ」「東南アジアへの理解や関心が薄くなっているのではないか」と危惧する声が強い。9月に誕生した安倍政権は、直ちに中韓両国を訪問したが、東南アジアとの関係をどうしたらいいのかというメッセージは弱い。おりしも北朝鮮による核実験のニュースも飛び込み、日本のアジア外交の関心は東アジアをめぐる安全保障面に向いている。こうした課題は非常に重要ではあるが、それだけに没頭するのではなく東南アジアに目を向けた戦略を立てる必要があろう。日本の存在感が薄れるのに比して、中国の台頭はめざましい。ハノイの街中では、オートバイが主要な交通手段だが、一台5万円程度の安価な中国製の中古バイクが大量に出回り、存在感が増している。東南アジア諸国連合
(ASEAN)との自由貿易協定(FTA) の動きでも日本に先行しており、投資や貿易面で緊密な連携を築きつつある。近年、中国とベトナムの輸出入は急増し、政府の援助でも日本とフランスに続く地位を占めるまでになり、影響力を増大させている。

'06.10.23,京都大学工学研究科客員教授・竹内佐和子様